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留萌の四季

沈まない夕陽

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天売・焼尻の島影の北に沈まんとする夕陽

7月末から8月上旬にかけて、日本海オロロンラインの苫前付近で、焼尻・天売両島の丁度中間に沈む、真夏の夕陽が見られることを知っている人は、そんなに多くはないと思う。
私も、留萌から天塩や稚内への仕事で、国道232号を往来する内、ある夏の日に、両島の真ん中に太陽が、まさに落ちて行こうとするのを発見した。
十数年前の8月2日頃のことであった。
ある機関誌の表紙に、留萌の夕日の写真を載せたいという話を頂き、留萌の夕日スポット「黄金岬」と思ったが、ここは毎年夕陽フォトコンテストのネタになっている場所なので、美しい情景の写真が数多く発表されていて、私の腕では、それ以上の写真は難しい。
そこで、焼尻・天売両島に沈む夕陽と決め、7月中旬頃より撮影体制に入った。
普段は留萌にいるので、夕陽の沈む7時少し前頃を狙って、苫前に車を走らせ、5時頃までには到着して、撮影の段取りに入らなければならない。
今夏は、雨は少なかったが、雲のない快晴の夕焼けには、なかなか巡り逢えなかった。
留萌は晴れているので、1時間後、苫前に着くと、丁度水平線上に雲が掛かっていて、島影も夕焼けもお預け。
晴れた日でも、夕陽が落ちようとするその場所を狙って厚い雲が立ち込め、沈まない夕陽のまま太陽は姿を消し、明日もまたおいでと呼びかける。
雲は無くとも、あまりにも快晴の日だったので、遠景に薄いガスが立ち込め、ボ-とした状態で写真にならず。
素敵な夕焼けはあったかもしれないが、仕事で体が空かない日々。
こんなことが続く内に、どんどん時間が過ぎて行き、感動できる夕陽には、そう簡単にはお目にかかれないことを学習する破目になってしまった。
そして、ついに来た8月4日。
この日も少し雲はあったが、苫前まで行って、ポイントへ。
島は見えるぞ。
おや、このまま水平線上に沈んだら、島の南側になってしまい、中央に落ちない。
段取りしかけた機材を回収し、夕陽の落ちかかるのを横目で見ながら、国道を北に向かって走る。
羽幌まで行き、今の状態を判断して、さらに3kmほど北の[汐見]に撮影地を決めセットする。
ここで気がついたが、洛陽の軌跡「黄道」は垂直ではなく、北方向に向けて鋭角で降りてくるのだ。
もう戻る時間はない。島の中央で落ちる予定が、丁度1個分だけ、北へずれた洛陽の写真となってしまった。
夕凪と共に波や風がピタリと止み、日中のむせ返るような暑さから解放され、心地良い涼風が顔をなでる時、暑い夏の日の終わりを告げる、荘厳なまでに美しい、あの夕焼けのイメージ。
撮影が終わった薄暮の中、島の灯台の灯が3個回転を始めるのを観賞し、もう、ススキの目立ち始めた草原を、ライトで足元を照らしながら、家路に着きました。
後刻、現像した十数枚のフィルムの中から数点を選び、夕焼けの色合いの濃さと、両島の姿が闇の中に溶け込んでしまわないよう明暗の調整をし、私の「オロロンの島と夕陽」は完成しました。
小さくて識別しにくいので、拡大して頂くと判りますが、夕陽の右下には、イカ釣り舟でしょうか、黒い点となって操業しております。

平成18年8月起稿
小 杉 忠 利

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