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留萌の四季

春告げる樹液の贈物

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春ころもがえの暑寒別川源流(暑寒別岳山頂より)

4月某日 午前3時10分起床。
外はまだ暗い。
3時50分自宅発。
コンビニで食料補給。
4時20分 箸別コ-ス登山口到着。
今年は、雪融けが早く、車からスノ-モ-ビルに乗り換えたのは、殆ど尾根上に出た、朱文別林道との分岐点近くだった。
ヤマハCS340E空冷に、スキ-と荷物を載せ、明るくなり始めた5時10分、雪面の滑走開始。
モ-ビルもエンジン効率の良いが重い、水冷タイプが主となり、軽い空冷は稀少となってしまった。
登山道(林道)も、この2年ほどで舗装が進み、場所によってはアスファルトが出ている個所もあり、雪のある側溝付近か、駄目ならゆっくりと道路上を走る。
やがて、尾根上に出て雪原の中へ。
6時頃より、雲の切れ間から太陽が顔を出し、山頂の雪がほんのりと朝焼けに染まる。
本日のもう一つの目的のため、シラカバの群落を探し、中に乗り入れる。
4月上旬から5月上旬の、1ヶ月ほどの間、シラカバは透明な樹液を提供してくれる。
美深町のシラカバ樹液祭が、毎年20日前後に開催されるが、今日は一人で祭をしてみようという魂胆。
2ℓのペットボトル12本、透明のビニ-ルホ-ス12本。
それにギムネ(ハンドドリル)1本。
至って簡単、道具はこれだけ。
まず太くて美味しそうなシラカバを探し、ギムネで1cm深さの丸穴を開ける。
ホ-スを穴に取り付け、もう一方をペットボトルに差し込めば、これで段取り完了。
ギムネを抜いた時、木屑の後から、透明な樹液が出てくるのを見た時、「ヤッタ-、頂きます」と思わず叫んで、一人笑い。

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簡単な樹液おすそわけの仕掛です
7時50分、12本をセットして、再びモ-ビルで出発。
小川にかかる橋の上の雪山を慎重に渡って、左の尾根に入る。
積雪期に、登山道沿いに箸別コ-スを降る時は、この尾根に迷い込み易い。
季節を問わず、特に道のない、尾根の下りは迷子になり易いから気をつけることだ。
6合目過ぎでモ-ビルを降り、スキ-登山開始。
午前の早い時間なのに、もう雪は腐り始めていて、場所によってはスキ-も埋まる。
急傾斜の直登では、靴のかかとを浮かせる装置を使うと楽で、ピッチも上がる。
運動不足の体に気合を入れるが、あるのは昔取った杵柄のみだ。
少し登っては小憩、また少し登っては中憩、もう少し登っては大憩を、自苦笑しながら繰り返す。
それでも、間違い無く、高度を稼いでいる。
隣接尾根の、暑寒別コ-スには、登山者の姿が三々五々見え隠れしている。
暑寒別岳頂上着11時30分。
南風が強く、防寒着の上に、風除けのポンチョを着ていても、寒さが凍みる。
夏は行けないポイントで、強風の中、重しをつけた三脚を立て、撮影開始。
滞在中、頂上には20人ほどの登山者が往来したが、寒さで、皆そくさくと帰途についてしまう。
午後1時下山開始。
雪面を自由に歩けるので、頂上直下の東急斜面をトラバ-スしたが、もうかなり雪が腐れていたので、少々雪崩の危険を感じながらの近道となった。
モ-ビルデポ地点から、樹液採取地点到着、午後2時。
樹液収穫16ℓ。
ほんのりと甘い味がするが、冷えた樹液は、火照った体には最高の贈り物。
シラカバの根から道管で吸い上げられ、梢まで行って、戻ってきた、クリ-ンな木の血液だ。
だから、シラカバが新芽をつけ始めると、養分を葉に送り、蒸発してしまい、樹液のお裾わけは終わりとなる。
採取後の保存も短く、冷蔵庫に入れておいても、2日間くらいで白濁し始め、おいしくなくなる。

樹液の効用と成分
古来民間療法として、フィンランド、ロシア、中国、韓国、アイヌ等、北方圏で飲用されてきている。
効果 内臓活性化 抗ストレス 利尿 便秘 痛風 リュウマチ 関節炎 胃腸病 腫れ物 扁桃腺 壊血病
最近では、ストレス、疲労を和らげる効果も確認されている。
北大マウス実験では、胃腸粘膜の強化作用確認。
咳で苦しんでいた人が、止まった話もあり、目や鼻の粘膜にも、効くのではないかと謂われている。

成 分
水 分 99%
糖 類  果糖 ブドウ糖
有機酸  アミノ酸 リンゴ酸
有機物  多糖類(キシラン) コレステロ-ル値低下
配糖類   (シリンガレジノ-ル)抗ストレス
ミネラル類  カルシウム カリウム 鉄 リン ナトリウム ケイ素 マグネシウムアルミニウム 亜鉛 マンガン

コ-ヒ-や水割りにも合いますので、ゆく春のひと時を、味わってみてはいかがでしょうか。

春衣替えの暑寒別沢源流(写真の説明)
この年は、雪融けが早かったけれど、暑寒の頂上付近は、まだまだ、冬の冷たい風が吹いていました。
眼下の、尾根から融け出し、沢に下る水音が、風に乗って聞こえていました。
直下の曲がりくねった沢は、本流の暑寒別川です。
画面右上に下った沢は、やがて留知暑寒別川と合流し、一気に日本海へと流れ込みます。
半年の苛酷な吹雪の中、蓄えられた雪が、天然のダムとなり、日本一といってよい、美味しい「水」を恵んでくれます。
もうひと月もすると、山は、美しい新緑に染まります。
化粧直前の源流風景と、滋養たっぷりの水源を感じて写しました。

平成17年4月起稿
小 杉 忠 利

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