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留萌の四季

雪山と葉月の花達

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平成11年4月の春山 待望の大快晴、登山日より。今冬は、11月中旬には早くも根雪となり、1月に入ってからは降雪の連日。なお、3月に入ってからも、途切れながらも吹雪が続いた。だから、4月とはいえ山はまだまだ冬だ。

箸別コース登山口より、6時30分、スノーモービルで出発。すぐ上の尾根に出ると、広く平らな牧草地となっていて、快適で走り易い地形となっている。ここでは、何時も休憩をとり、暑寒連峰をしばし楽しむ事にしている。左方向はこれから登る箸別尾根、中ほどに暑寒別山荘から登る主尾根、右方向に暑寒本峰から西暑寒別岳に続く吊り尾根。

登山前は、「おまえは、これから、遥かに見えるあの山へ登りに行くんだよ。」と暗示をかける。そして登山を終えてこの場所へ戻ってきた時つい先程までは、今、遥か彼方に見える、あの山頂に居た筈なのに、そのことが夢のように思える不思議な気持ちの中で「また、来るぞ。」と心の中でつぶやく。

箸別避難小屋を過ぎ、樹林帯の木々を縫いながら、覆いかぶさるトド松の重たい枝に、身を二つに素早くたたみながらモービルを進める。

松の濃い緑と、木々の黒い影以外は、空の青と、雪の白との透けるような色の世界。風も無く、鳥も鳴かず、殆ど静寂の景色。時折、エンジンを止めて自然の音を楽しむ。

やがて森林限界を過ぎ、暑寒別岳から続く尾根々々が見える辺りでモービルを降りる。標高800m付近より上は、このコースではモービルの規制区域に入り走行出来ない。

雪はクラストしていて堅く、登山靴が埋まらないのを確認し、スキーをはかずに、足で雪面を蹴りながら登り始める。体力の低下とトレーニング不足を痛いほど感じながら、息をはずませて、頂上まで2時間余の登攀。

頂上付近は吹きさらしで、真冬でも、はい松の枝が雪の中から見えるほどしか積もらない。だから、もう所々地面が見え始めていてエゾ石楠花の緑色の葉たちが元気に顔を出している所もある。下界よりも早く春が来ているようだ。

山頂はそんなに風は強くないが、沢から吹き上げる風に曝されている所は、雪煙と雪片を舞いあげている。

このチャンスを狙ってと、あちこちと移動しながら、雪景色を写し廻る。夏と違って、植物を踏み荒らす事もないので、堅い雪を蹴こみながら、好きな場所で撮影出来る。しかし、雪景色は露出が難しく、感動のイメージとは違った出来上がりになり、何時もがっかりする。

頂上から見える360度のパノラマは、南暑寒岳から雨竜沼へ続く尾根、尾白利加岳・群別岳・浜益岳・雄冬山へと続く尾根、西暑寒別岳に続く尾根々々が、時折雪煙に見え隠れしている。

いま、この大地に、自分ただ一人が居る事に大きな幸せを感じる。冬山の山頂は、訪れる事を許されたものだけが来れる、そんな場所であって欲しい。

ゆっくりと散歩を楽しんだ後、名残を惜しみながら、降りる事にする。途中、地元山岳会の単独行の人と、北大スキー部の6名に出会う。「ご苦労さん!」最後にこの山行での隠れ話しを一つ。私は携帯電話を持って登っている。頂上に着いた時、「安着」を家内に連絡しようと電話をかけたが、衛星の状態が悪いのか、呼出音が鳴っただけで、切れてしまう。

5、6回繰り返したが同じ結果。諦めて写真を撮り始め違う場所で念の為かけてみると、うまくつながった。「もしもし、こちら暑寒別岳山頂。あ~やっと話せるね~」 “家内”「いいかげんにしてよ。マッサージをしてもらって、ウトウトと気持の良い時に何回も鳴るものだから、その度に止めてもらって、起きて電話の所まで行くものだからこっちの身にもなってよ!」と怒りの返答。私は思わず「ごめん」と言って電話を切る。山の神様は、やっぱり女なのだろうか。

「私」と「かみさん」の仲を邪魔してくれました。ここで、一句詠みます。「携帯を自在に操る山の神、わが家のかみさん怒らせて、機嫌良し、今日の青空の如く」

春の暑寒別岳

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暑寒別岳頂上から麓の山小屋方向へ続く西尾根春の南風による雪庇が見える。
この尾根の右側はポン暑寒沢左側の大きな沢は、暑寒別川本流の沢
写真中央の小突起のようなピークは中の沢岳(1189m)
左後方の山は雄冬岳(1197m)、中央後方のピークは天狗山(938m)
背景に見える水平線は日本海

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頂上の岩塊を包んで出来た、吹雪の造形 通称「エビノシッポ」と呼ぶが、着氷が風上に向かって伸び「海老の尻尾」のような 形になる現象をいう。海老が何千匹も集まって、スヌーピが子犬を左手で抱いてい るようなオブジェを造っている。4月になると、山の上でも南の風が吹き始め、春が 来ている事が、「海老の尻尾」の指す方向で判る。

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左後方のピークが尾白利加岳、その右のピークが群別岳。
群別岳直下から画面左側手前へ続く尾根が、本峰から南暑寒岳への尾根と合流する。
この区域は、最近は登山する人も少なくなったので、夏は熊達の天国だ。
登山道も熊笹に侵入され、見分けがつかなくなってしまった。
画面手前の雪面に風紋が見え、稜線には雪庇が観察される。

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3月の箸別尾根はまだまだ天候が不安定だ。麓を出発する時は晴れていても、途中でチラチラと雪が降り始め、視界も不良になる。木の間越しに時折見える隣の尾根を背景に撮ろうとするが、稜線はなかなか見えてくれない。それどころか、風雪が次第に強くなり始めた。
そん中で、吹雪に耐え曲がりくねった「ミズナラ」の木が、枝先の新芽に春を迎えようとして、赤く色付き始めていた。

箸別コースに咲く葉月の花達

高山植物のような小さな生命が、大地も凍る厳寒を過ぎて、雪が消えるとすぐに、同じ場所から、昨年と同じ種類の花達が次々と咲き始める、この可憐な姿に秘めた生命力には何時も感嘆させられる。

その花達も、8月に入るともう秋の季節へと模様替えし、果実をつけ始め、半年の眠りへの段取りが始まろうとしている。 この時期に咲いている沢山の花達の内、ここ箸別コースのお花畠を代表するものを選んでみました。

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チシマフウロ
花は10個ほどが集団で花をつけ、この仲間では色が濃い。淡い紅紫色 で可憐な花の姿と共に人目を引き寄せる。
花の散った後も、額の周辺は同じ赤紅色に染まって目立ち、葉も緑が紅葉する。
やがて数本の角のように尖った部分が出来、熟すと、数個にカール状にめくれ上がり分裂して、夫々が種を実らせる。

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コガネギク
この時期に、黄色の花は少なく、しかも固まって咲くので目立つ。
登山道のような堅い地面にもよく咲いている。乾燥した日当たりの良い所を選ぶ。

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エゾノホソバトリカブト
高山に行くに従って、葉は細く割れていくようである。根が特に毒が強く、アイヌが狩猟用の鏃に塗っていたほどだ。
ここの斜面には、かなり群生している。この花の形と、濃い紫色は、草緑の中で大変目立つ色である。
斜面に風が吹き、少し背の高いこの花が一斉に揺れると、いやでもしばし足を止めて見入る事になる。

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ミヤマサワアザミ
低湿地にさくアザミの高山型。一つの茎に1、2個より咲かず、しかも下向きにつくので、目立ちにくいが背が高いので捜すとすぐ判る。
丁度夏の打上花火の大輪が「ドカン」とお腹に響く音を残して散った後に、尾を引いたチヂレの様子によく似ている。

その花達も、8月に入るともう秋の季節へと模様替えし、果実をつけ始め、半年の眠りへの段取りが始まろうとしている。

この時期に咲いている沢山の花達の内、ここ箸別コースのお花畠を代表するものを選んでみました。

増毛山地概念図

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